看護師長に必要な経験学習スキル  経験を成長につなげよう

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看護師長のスキル
ふみ
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看護師は経験が大切っていいますよね。

新人看護師は、国家試験に合格しているので知識はあります。でも、技術は、就職後に経験を積むことで身についていきます。

また、患者さんやご家族への対応や組織人としての仕事場での態度も、場を積むことで磨かれていきます。

わたしたちは、経験がとても大切であることを実感していると思います。

ふみ
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今回、経験を成長につなげる方法を以下にそって考えてみました。

看護管理者がよく聞く、経験学習って何か。

具体的に学習方法はどうすればいいのか。

経験学習サイクル

子どものころの学習は、学校の教室で教科書を使って教師に導かれて、依存的でした。学習内容も生活にすぐに役立つことではありませんでした。

大人になった今は、自分が経験したそのものが教材となり、生活で直面している問題を解決するために、自ら考えて学習していると思います。

研修などの座学も大切ですが、臨床現場で実際に経験したことを、次の仕事場面に生かしていると思います。

Kolbは、学習を「経験を変換することを通して知識を創造するプロセス」と定義しました。

しかし、経験さえすれば学習して成長するわけではありません。経験から知識を生み出すことが鍵になります。経験そのものよりも、経験したことを振り返って、分析・解釈することが大事となってきます。

経験学習サイクル
経験学習サイクル 松尾睦(2017).5分間リフレクション・エクササイズ,北海道大学経済学研究院 Discussion Paper, Series B No.155

人は、①何らかの出来事を経験し(具体的経験)、②その出来事を振り返り(内省的観察)、③教訓を引き出し(概念化)④次の状況に応用する(積極的実験)ことで学習しています。

職場においてメンバー同士が業務を振り返る習慣をもつことが、職場全体の学習や業績を高めることがわかっています。

経験学習の実践方法

では、経験を成長につなげるには、実践では、どうすればいいのかを考えてみました。

具体例1:倉岡有美子先生の「経験学習ノート」

そこで、とても素敵な本に出合いました。

倉岡有美子先生の『看護師長として成長しつづける!経験学習ガイドブック』医学書院(2019年)です。

倉岡先生は日本赤十字九州国際看護大学の看護管理学の教授をされていますが、看護師長の臨床経験もお持ちです。

Kolbの経験学習モデルを基盤にした「看護師長の経験学習4段階」を開発されました。経験学習の実践方法として、「①状況」「②内省」「③私が得た知識・スキル」「④異なる状況での試行」の4段階に分けて考える方法です。

それも、ノートに記述することを進めています。記述することで、可視化でき、他の人に支援も求めやすく、あとで見直すことも可能です。

ふみ
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では、具体的な内容をみていきます。

「①状況」は、経験したことを振り返り、学びたいと思う事例を選び、経験したできごとや事柄を可能な限り再現し、記述します。

「②内省」は、「状況」のなかでの自分の思考や判断、行動について、何がよかったのか、改善すべき点は何かについて自問します。

「③私が得た知識・スキル」では、経験から引き出した学びを整理して、適切な用語を当てて言語化します。自分の経験から学んだエッセンスを絞りだします。

「④異なる状況での試行」は、「私が得た知識・スキル」で言語化したことを異なる状況で使ってみてその有効性を確かめます。すぐに、機会に恵まれなかったとしても、実際に異なる状況で試したときに記述します。

③まで記述できていれば、上司の看護部長や同僚の看護師長に見せて、アドバイスをもらうこともできます。

本には、経験学習の事例の説明もあり、とても、わかりやすいです。

看護管理者の方は一度、手に取ってみることをお勧めします。

具体例2:松尾睦先生の「5分間リフレクション・エクササイズ」

松尾睦(2017).5分間リフレクション・エクササイズ,北海道大学経済学研究院 Discussion Paper, Series B No.155

松尾先生は、北海道大学の教授で、経済や経営を専門とされています。「成長する管理職:優れたマネジャーはいかに経験から学んでいるか」(東洋経済新報社、2013年)は、わたしのバイブルです。看護雑誌への寄稿も多いので、お名前をご存知の管理者も多いのではありませんか。

松尾氏は、わたしたちは経験から学んでいると述べています。具体的には、日々の出来事の中で他の人々と交流し、何らかの課題に向き合うことすべてが経験です。

人は自分の経験を振り返り、そこから教訓を引き出し、次の状況に活かそうとします。でも、日々の経験はすぐ流れてしまいますよね。

そこで、松尾先生は、職場でメンバー同士が業務を振り返る習慣を持つために、手軽に経験を振り返ることができる「5分間リフレクション・エクササイズ」を提案されています。

ふみ
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では、具体的な方法を説明しますね。

まず、職場内で二人のペアを作ります。

次に、最近1か月を振り返り、印象に残った出来事を一つ選び、「経験したこと、学んだこと」を1分間で思い出します。このステップは個人作業です。

次に、ペアの一人が「経験したこと、学んだこと」を2分間で説明します。

2分間経った時点で交代し、もう一人が「経験したこと、学んだこと」を2分間で説明します。

エクササイズを実施する際の留意点として、本人は「何が起こり」「どのように感じ」「何を学んだのか」、経験を語ることです。聞き手は、事実を聞き、共感することに集中し、話し手の説明内容を評価することは避けます。

つまり、まず本人自身が、経験を振り返り、学びを引き出すことが大きな目的なので、聞く側は「傾聴」と「共感」を心がけることが大切となります。

短い時間でも、特定の業務の経験を思い出して、学んだことを一般化すると、他の業務でも使える教訓に引き出せるそうです。

また、はじめのうちは説明時間をオーバーする人も、5回くらい繰り返すと、全員が自分の経験を2分間で伝えることができるようになるそうです。

わたしも、今度、看護師長会でトライしてみようと思っています。

5分間リフレクション・エクササイズの流れ
5分間リフレクション・エクササイズの流れ

まとめ

看護師にとって、経験学習がとても重要であり、具体的に何をするのかを、文献から解説しました。

看護管理の実践でどう作っていくかのヒントになれば、うれしいです。

ふみ
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わたしも、看護師長会で、看護師長がどう考えて管理を行っているのかを語る機会を設けています。それぞれの看護師長の思いがわかって、楽しい場となっています。語った看護師長にとっても、なにがしかの気づきがあれば、さらに、うれしいですが。

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