こんにちは、ふみです。
わたしは、看護師長として12年間、副看護部長として6年間、
看護部長として3年間の経験があります。
看護職は、情報把握は得意だと思います。
その情報を分析する、いわゆるアセスメントは、看護学生のときから難しかったです。
看護管理者となった今も、情報をどう分析するかという作業は難題です。
今回は、看護管理を実践していくうえで役に立つ、
現状分析するための情報の考え方をまとめてみました。
看護管理者として、毎日の実践の問題を考えるスキルになると思います。
現状分析とは
まず、現状分析とは、具体的に何のことというと、
- 自部署の状況や背景に関する情報を集めて、
- 問題点を整理し、
- 解決するための課題をみつけること
自部署で起こっていることや、自部署を取り巻く状況などを、細かく見ます。
この場合、何を分析したいのか、分析の目的をもって、情報を見ると整理しやすいです。
マネジメントしていく中で、現状分析し、方向性を決めるためには、自部署のことだけではなく、
自部署の周辺状況の情報
例:看護部の方針、診療科の新しい技術、社会の動向など
も必要となります。
分析した結果にもとづいて、看護管理者として判断し、行動を起こします。
分析に必要な情報の考え方
次に、具体的な方法を説明します。
是非、チャレンジしてみてください。
意識しないでも使えるスキルとして身につくと
看護管理者の分析能力が高まると思います。
概念的思考
「本質を捉える」こと
表面的に起きている結果に対して、その真の原因を掘り下げます。
例えば、スタッフから相談をうけたとき、いろいろ話してくれるけど、結局、何がいいたいのかわからないときがあります。
その場合、本当は何を訴えたいのか、スタッフの訴えの本質をつかむような質問をしたり、話を絞ったりしていませんか。
自責思考
部署で起こったことは、プロセスや結果も含めて、「すべて管理者の責任」
何か問題やトラブルが起こったら、原因は自分にあると問題を認識し、改善を試みます。
原因自分論【すべて物事の起きた原因は自分にある】ですが、
自分を責めるのではなく、問題を認識し、自ら考え行動する覚悟を決めることです。
例えば、他者とのコミュニケーションがうまくいっていないのは、そのスタッフが悪いのではなく、その関係性を放置している自分のマネジメントが原因と考えます。
そうすれば、愚痴を言っているだけでなく、当事者として行動を起こすことができます。
情報を見る視点を持つ
仮説思考 結論から考える
「Aという情報をそのまま利用する」から「なぜAになったのかその背景を分析し、Aから何が起きるか予測して対策を打つ」考え方です。
例えば、「明け方に転倒が増えている」という情報に対して、「起床時にトイレに行くときに転んでいるのではないか」という分析仮説を立てます。
そうすれば、「起床時間を把握して、トイレ誘導をすれば転倒が減るのではないか」という戦略仮説が立ちます。
俯瞰思考 全体から考える
全体を俯瞰してから、切り口を決めて、部分へ視点を移動させます。
例えば、中堅看護師は、よく、新人は〇〇ができていないと言ってきます。
できないことに焦点を絞るのではなく、時期や新人の経験内容など俯瞰して見ると、まだ、できなくて当然と思えることもあります。
抽象化思考 単純に考える
抽象化とは、対象から注目すべき要素を重点的に抜き出して他は捨て去る方法です。
いわゆるエッセンスですね。具体的なものを形のない概念へ、置き換える思考のプロセスです。
抽象化するには、2つの方法があります。
- 一般化:一つひとつの具体例に対して、その上位概念として一般的な言葉に置き換える。例えば、看護では、清拭や排泄介助、口腔ケアなどを日常生活援助と言っています。
- 単純化:複雑な事象のうち、目的に合った部分だけを取り出し、枝葉は切り捨てる。例えば、私たちが、よく使う標語の6Rは、単純化されています。
多方面から見る
直線思考 1次元(なぜ、正しく考える)
原因を分析するために、なぜ、なぜ、なぜと深く掘り下げます。
例:なぜ、このインシデントが発生したのか。
平面思考 2次元(ほかに、正しく発想する)
何か、別の手段はないか、少し俯瞰して考えます。
例:転倒予防のために、離床センサーを使用しているが、別の方法はないか。
立体思考 3次元(そもそも、正しく疑う)
行き詰ったときに、これまでの方法を批判的に考えます。
例:そもそも、そのケアの方法は時代にあっているのか。
まとめ
現状分析に必要な情報の考え方をまとめました。
現状分析は、自部署の課題をみつけ、問題解決を行うために重要なスキルです。
自部署の状況だけではなく、周辺状況の情報も分析します。
情報の考え方は、いろいろな視点やチェックポイントがあります。
- 本質を捉える概念的思考
- 原因自分論の立ち位置での自責思考
- 結論から考える仮説思考
- 全体から考える俯瞰思考
- 単純に考える抽象化思考
- 原因を分析する直線思考
- 別の手段を考える平面思考
- そもそもこれは正しいのかと批判的に考える立体思考
看護管理者にとって、現状分析ができることが、マネジメントの第1歩です。
わたしも、自分の病院の現状や、看護部の状況を把握し、リアルな問題を抽出するために、常に考えています。
その考え方が、
正しいか(正確性)
問題からそれていないか(一貫性)
問題を見落としていないか(網羅性)
を、副看護部長と相談しています。
看護師長さんも、考えたことを、副看護師長にシェアして、一緒に、考えてみてください。
お勧めの本を紹介します。
看護管理者の初心者にも、わかりやすい内容です。
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