看護師国家試験を受験する、看護学生のみなさん、お疲れ様です。
実習に、国家試験対策に、大変な中、就職を決める重大な選択も抱えていると思います。
また、就職試験の準備も大変ですよね。
わたしは看護部長として複数の病院に勤務しました。
新人看護師の採用試験には、10年以上、かかわっています。
その経験から、わたしの採用を決める考え方を、ちょっと、お知らせします。
あくまでも、わたし個人の見解です。悩んでいる看護学生に、少しでも参考になればと思います。
こんな人材を求める
いろいろ経験して、言えることは、病院によって求める人材は違うということです。
病院の大きさや規模、働くスタッフの年齢層、提供している医療の内容、などによって、採用したい人材は違ってきました。
実例:200床以下の中小規模のA病院
子育てのための引っ越しを契機に転職された人が多い病院でした。子育てを卒業したあとも、働き続ける職員も多く、年齢層はやや高かったので、新人を採用するときは、社会人経験がある30代・40代の方も、採用しました。
小規模病院で、ネームバリューはなかったですが、地元の住民には大切に思われている病院でした。
採用試験は3回で、最後は12月に実施しましたが、就職活動に出遅れた方が受験してくれました。バリバリの急性期ではありませんが、地味でも真面目に取り組んでくれる人がいいなと思っていました。看護部長で勤務していた時は、新人看護師の一人ひとりの名前や人柄、成長を把握することができていました。
実例:300床以上の急性期で、集中治療室やNICUもあるB病院
新人看護師に人気のある病院だったので、採用試験は1回のみで、採用倍率も2倍程度でした。企業主催の合同病院説明会では看護学生の列ができるような病院でした。
B病院は、30人ぐらいの新人看護師が就職します。働く看護師も多いので、プリセプターをつけることはできますが、新人看護師には自らがんばる自律性が重要だと思います。30人もいると、較べられることもあると思います。教育担当の看護師長がいましたが、看護部長として、一人ひとりときめ細やかに対応することは難しかったです。
何がいいたいのかというと、病院によって、求める人材は異なります。
ですので、自分に合う病院選びが重要だと思います。
採用の決め手
採用試験は、小論文や適性検査など、病院によって異なります。面接は、どこの病院でも実施していると思います。
面接で重視するポイント
わたしが実施した面接は10分から15分程度でした。ぶっちゃけ、この程度の時間で、人を理解するのは難しいですよね。看護学生のみなさんも、面接の練習をしていたり、想定質問の回答を準備していたりしますよね。質問については、質問の内容に沿った回答になっているのか、端的に自分の考えを述べているのかを、見ていましたので、回答の内容はあまり重視していませんでした。
わたしが見ていたのは、
- 目線:ちゃんとアイコンタクトがとれるか
- 発言:焦らずにゆっくりはっきり答えられているか
- 態度:はきはき、にこにこ
- コミュニケーション:こちらの質問をちゃんと理解できているか
わたしは、最後に必ず、「何か質問はありませんか」と、聞いています。
この場合、よくある質問は、「就職するまでに、何か学んでおいたほうがいいことはありますか」と、聞かれます。意欲的であることはアピールできますが、
回答は「とりあえず、国家試験に合格することのみです。」と、決まった返答になります。「質問は特に、ありません」だと、興味ないのかなとちょっとがっかりします。
例えば、自分が希望しているキャリアのことなどで、「認定看護師になりたいと思いますが、支援していただけますか」とか、「将来的には、訪問看護をやってみたいのですが、可能ですか」、あるいは教育体制のことで「2年目以降はどのような教育を受けることができますか」など、前向きな質問をしていただけると、「おっ」と、記憶に残ります。
面接以外で重視するポイント
看護師は国家試験の合格という大前提があります。就職内定となっても、国家試験に合格しなければ採用にはなりません。国家試験の合格発表は3月の中旬ですので、病院側も就職の準備を進めている状況での取りやめは大きな痛手となります。ですので、まず、国家試験に合格できるかを、重視します。成績証明書をちゃんと評価します。わたしは、実習の成績も重視します。
そのほか、病院によっては、小論文や適性検査を実施します。小論文では、論理的に考えられるか、丁寧に書いているか、誤字脱字はないか、など、小論文の内容とともに、考える力や姿勢を見ています。
成績があまりよくない場合は、面接のときが、巻き返しのチャンスです。
「あまり家で勉強してきませんでしたが、今は、国家試験に向けて1日1時間は勉強するように頑張っています。」とか。できていないことを認め、でも、今は努力していることをアピールしてください。その熱意によって、本当か建前か、伝わります。
採用時に重視するポイント
わたしは以下の点を把握して、採用を決定したいと思っています。
- 看護が好きか
- 看護師として長く勤務してくれるか
- ストレス耐性はあるか、前向きに頑張れるか
- 他者とうまくやっていけるか、チームで協力できるか
短時間の面接やひとつの小論文で、その人を理解することは不可能ですが、一緒に働きたいと思えるか、だと思ってます。
まとめ
病院によって求める人材は異なります。自分と相性のよい職場を選ぶことが重要だと思います。
そのためには、どんな看護師になりたいのか。どんな看護ケアを実践したいのか。自分自身のやりたいことを考えることが大切です
- 最先端の高度急性期を経験したい。
- 認知症や地域医療など高齢者を支援したい。
- がん看護や緩和医療に携わりたい。
- 自分はゆっくり成長するタイプだから、回復期でじっくり経験を積みたい。
などなど、実習を思い出して、自分が楽しいと思える看護、あるいは、もっと深く挑戦してみたい看護を探してみてください。
ひとりでは難しかったら、学校の先生に相談してみてください。先生は、あなたのことを理解されていて、病院についていろいろな情報を持っていると思います。
そして、この病院に就職したら、自分はこんな力が発揮できると、想像して面接に臨めば、面接官にも、その思いが伝わると思いますよ。
体に気をつけて、がんばってください。わたしも、誠実に採用活動にのぞみます。
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